【面白いサイト見つけた】「俺だってヒーローになりてえよ」
面白さ:★★★☆(3.75/5.0)
僕がこのサイトに出会ったきっかけは、タイトルを思い出せない本について調べていたら、下のエントリを偶然見つけたことだった。
読書中毒者が選ぶ最高に面白い本まとめ(フィクション以外) - 俺だってヒーローになりてえよ
ふふっ森博嗣大好きすぎでしょwと笑ってしまったけれど、選書に幅があって非常に良い。
読書しているときにされるちょっかいを殺意が湧く順に紹介する - 俺だってヒーローになりてえよ
このエントリも良かった。
メインは「読書中にされて嫌なこと」がランキング形式で紹介されている。
たとえば、「10位 お構いなしに話しかけてくる」に関して、
こちらが本の世界に没頭しているにも関わらずお構いなしに話しかけてくる奴がいる。
集中しているのを邪魔されるのは甚だ不愉快ではあるが、そうやって話しかけてくる輩というのは、読書をスマホいじりと同じようなものだと思っているフシがある。あまり罪の意識がない。無垢な子供のようなものである。
この後も続くので、気になる方は実際にリンク先に飛んで目にして欲しいのだけど――この「あまり罪の意識がない」というところが僕の目を惹いた。いや、罪てw
少し大げさな物言いにほっこりしてしまったけれど、文章はあくまでさりげない。しかしだからこそ、抑制しているからこそ、かえってその怒りは飾られない剥き出しのもののように思える。静かに激怒しているのがにじみ出ている。ほんとう、この人は読書することが大好きなんだろうな、と感じた。
読書家の中にはこのような方もいるのだな、と興味深く読んだ。
他にも、
今回の記事は、「読書」の数少ないデメリットの話である。
そう読書にもデメリットがあるのだ。
とひろたつ氏は語る。
なるほど、確かに、読書のメリットについて語られることは多いが、デメリットととなると案外少ないように思う。そこに目を向けたのは面白い。*1
ただ、このエントリでは、そのデメリットを「ひとりでしか楽しめないこと」と書いている。確かにそうなんだけど、それは少し視野が狭いのではないかと僕は思う。
というのも、確かに読書という行為は内向的で、ともすれば他人との交流として結びつきにくい。しかし、雑談程度であれば話題としてコミュニケーションのきっかけになるし、自分とは異なるものの見方をする他者であるからこそ、気持ちを共有できた時の歓びというのは大きいはずだ。それに、自分が読んだ本、あるいは他人が読んだ本を貸したり借りたりすることも出来る。読書は決して、閉ざされた行為ではない。
それに、見方を変えれば「ひとりでしか楽しめない」というのはメリットでもある。個人的な体験だからこそ、それは他者の入る余地のない聖域となる。血湧き肉躍るような冒険譚だろうが、小難しい哲学書だろうが、あまりに下品で親が見れば顔をしかめるようなエロ本だろうが、挿絵があるならともかく、文章をちらりと見ただけでは分からない。脳裏に構築された異世界だからこそ、自分だけが密やかに愉しめるのだ。「ひとりでしか楽しめない」のではない、「ひとりだけで愉しめる」のだ。「ひとりだけの愉しみ」なのだ。*2
それはさて置くとしても、やはりひろたつ氏のブログは良い。『バーナード嬢曰く。』のような「読書(家)あるある」が好きな僕からすると、それだけで評価したくなってしまう。とりわけ、自分の経験ベースで語られているもの、切実なもの、コンプレックス*3に関するもの、というようなものについては親近感を抱いたり、または「そんな見方があったのか!」と認識が変化したりと興味は尽きないため、このように負の感情を前面に押し出した価値観の提示はすごく良い。キレイゴトに一体どれだけ価値があるというのか。そこに人間味など、ない。正論では他人を動かせないし、正しい事はしょせん薄汚い、醜い欲望を、本音を覆い隠すためのメッキでしかない。
それに、自分が確かに感じたことではなく、どこからか引っ張ってきたものにもさして価値はない。真実味がないし、そんなモンタージュでは人の奥深くなど見通せない。神はいつだって細部に宿る。人の情熱や、生き様もまた。
だからこそディテールというものは大切だ。頭で考えた上っ面の考えではなく、血肉の通った価値観だからこそ、誰かの心を揺さぶることができる。
だから、僕は「僕だってヒーローになりてえよ」が好きだ。好きなのだ。
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以下、個人用メモ
読書中毒者が選ぶ最高に面白い本まとめ(フィクション以外) - 俺だってヒーローになりてえよ
このエントリを読んで思ったのは、「この人が手に取るのは、好きな著者を芋づるで辿っていくか、ネットでまとめられた本の中から選んでるんだろうな」ということ。どんな風に本と出逢ったか、ということについて知りたい僕からすると少し寂しい気もする。まあ、それだけ、そこの管理人さんは読む時間に費やしているのだろうけども。
ちなみに、この中ですでに読んだことのあるものは、
『われ笑う、ゆえにわれあり』
『小生物語』
『美女と竹林』
この中だと、美女と竹林が最高に好き。こんなに面白いエッセイは読んだことがない。逆に、小生物語は好みではなかったけれど、同作者による『暗黒童話』のあとがきは面白かった。僕は、あとがき読む前に、本編読み終えてから一息ついたから良いけれど、本編読んだ後そのままあとがきを読んでいたら、完全に余韻がぶち壊されていた。どうしてくれる。いや、今回はそんなことなかったから良いんだけど。
サイモンシンの『フェルマーの最終定理』は、高校生の時に買って、上京した時も持っていたはずだけど、引っ越しの時にどっかやってしまった。見込みは薄いけど、探せばあるかもしれない。同作者の『暗号解読』は、理系ノンフィクションとは思えないほどの物語的な盛り上がりと、知的好奇心が満たされたので個人的に評価高い。そういえば、モアイ像で有名なラパヌイ語はまだ解読されていないそうだけど、暗号解読の手法じゃ無理なんだろうか? ちょっと気になる。
気になった本は、
『特殊清掃 死体と向き合った男の20年の記録』
『奇跡のリンゴ』
『バッタを倒しにアフリカへ』
『反省させると犯罪者になります』
『1998年の宇多田ヒカル』
『ゼロ』
『直感力』
『うさぎとマツコの往復書簡 』
『深爪式 』
『社会人大学人見知り学部卒業見込』
『ずる-嘘とごまかしの行動経済学-』
特殊な環境や、変態的な人間性の漏れ出る本は大好物です^q^
特に、バッタを倒しに〜なんて、表紙にせよ、言ってることにせよ、クレイジー過ぎて顔面と腹筋が大変なことになっている。どうしてくれる。
管理人さんの文章を引用すると、
「バッタに食べられたい」
そんな異常者極まりない願望を携えたバッタ博士(ちゃんと博士号を獲得している)の、強烈なバッタ撲滅ノンフィクション。こんな本、いままで読んだことない。
随所に光る文才と、隠しきれない変態性、そして応援せずにはいられないひたむきさ。
笑って、考えさせられて、痛快で、感動までしてしまう、そんな凄い本です。
いやー、それにしても馬鹿な人ってやっぱりいいなぁ。
激しく同意。
そういえば、羽生さんの本はまだ読んだことがなかった。いずれ読みたい。
芸人さんの本は個人的に嫌いなので、だからこそ、読んでいきたい。
『謎の独立国家ソマリランド』
『自分のアタマで考えよう』
『ずるーー嘘とごまかしの経済学』『バッタを倒しにアフリカへ』*4
は、買おうと思っていた本を削って、買うことにした。
そういえば、管理人さんは『ネットのバカ』を読んで、ブログのスタイルに変化を付けるようにしたそうだけど、これはどういう意味で言ったんだろう?
過去のエントリのスタイルではなく、感化されて別のスタイルで書くことにしたのか、それとも同じスタイルではダメだと考えたから、毎回何かしら変化を付けようとしているのか…。ここらへんはこのブログのエントリを定点観測することと、この本を読んでみないと分からなそう。
*1:むしろ、学校なんかでは読書しろ読書しろ、とある意味洗脳じみて気色が悪い。読書しろ、という大人がどれだけ読書しているというのか。読書するより、人や自然と触れ合うことの方が大切なのでは? 重要なのはより善く生きることのはずだ。それは知識があろうとなかろうと関係のないことだ。少なくとも本質的には。
*2:ちなみにこの考え方は、ある本を読んで、その著者が似たようなことを言っていたことに起因する。出典は忘れてしまった。というより、むしろ思い出したいと何ヶ月も思っているけど、どこで目にした本だったかすら記憶にない。せめて著者でも分かれば、調べられるのに…残念
*3:必ずしも劣等感というわけではない
*4:やっぱりどうしても我慢できなくて、こっちを買うことにした。これ、絶対面白いでしょ。なんだよバッタ撲滅フィクションってw隠し切れない変態性にも気になるところだけど、博士号取得するほどのバッタ狂ってもうわけわかんねえよ!wじわる。マジでじわる。思い出すだけで腹筋が震える。脳も震える。